見えない探し物「その人らしい働き方」への案内人蛭田ひとみさん(島田市)

お店で商品を探しても見つからなくて、店員さんに案内してもらったら、思っていたのとは全く別の売り場に置いてあった。そんな経験ありませんか?

探し物をするときに、一人では見当違いのところを探してしまうこともあります。特に「働き方」なんていう目に見えない探し物であればなおさらです。

蛭田(ひるた)さんは個人としては”働くを豊かに”をテーマに「HR Redesign(エイチアールリデザイン)」として、働き方に関する相談に幅広く応じ、「Asubiplanning(アスビプランニング)」というチームでは、ICTを活用して企業と働きたい人をつないでいます。

働くことについて相談したいけれど、何を相談したいのかも漠然としている。どこに行けばいいのか分からない、という人をはじめ、転職・起業・採用・経営戦略等、働くときのあらゆる「困った」を解決すべく、活動されています。

現代では仕事を考えるとき、「やりたいことをやろう」「私らしくが大切」とよく言われます。けれど、「やりたいことがあってもできない」「どうしたらいいかわからない」という人もたくさんいます。蛭田さんは人生の中で多くの時間を費やす”働くこと”が”豊か”になることで、解決できることがあるのかもと考えています。”豊か”とは選べること。だれもが働くこと(生きること)を選べる社会になればと思っています。

「やるのはあくまで本人。本人のやる気さえあれば全力で支える」

「本業にかける時間を増やせるよう、外からサポートをしたい」

そう言う蛭田さんは、相談を受ける中で、全ての立場の人の利益になるように、あえて働く人にも企業にも、すべての立場に寄り過ぎず、外部ブレーンとして関わっていきます。

実際の現場では”何を相談したいのか”をまずは明確にしていきます。個人からの相談に対しては、起業したいのか、会社に勤めたいのか確認したり、時にはそれを仕事としてやりたいのか、単なる活動としてやりたいのか、というところから一緒に整理することも。

そして、相談事が明確になったところで支援機関へつないだり、事業化するまで伴走したり、様々な形でアドバイスしていきます。

一つの例としては、ボランティアで保育士資格を活かして子どもの預かりをしていたお母さんが、個人事業主として事業を実施するようになったケースがあるそうです。

最近は住宅メーカーの依頼でお母さんを集めて意見を聞き、子育て世代向けの住宅プランを作成するというお仕事もされています。こういった話し合いは、夢ばかり語ってしまい、実際にはその後に活かすことが難しい場合も多いですが、和気あいあいと話しえるような環境を整えつつ、お母さんたちが報酬をもらって仕事として取り組み、かつ、住宅メーカーができる現実的な側面も共有し、商品化につなげるように意識することで、良いプランが出来上がったのだそう。

そんな”働くこと”に関する多彩なお仕事をされている蛭田さんは、今まで約15の企業でお仕事をされてきました。

その中で、形は違えど今と同じように誰かが働きやすくなるようにサポートする仕事にやりがいを感じていたそうです。

特に今に結び付いているのは、リクルートのカスタマーサポートの仕事。

特に今の活動に結びついているのは、求人広告会社リクルートでのカスタマーサポートの仕事。
仕事内容は、新卒採用をしたい企業の採用計画から実際の採用活動全般のフォローと大学生の就職活動のサポートをすること。

新卒採用は企業の今後を決める重要な決断を強いられる業務。採用する企業と就職する大学生がお互いwin-winになるようアドバイスしていきます。

企業の一般的なイメージに合った人材が欲しいのか、新しいことを始めるために今までと違う人材が欲しいのか。どんな社員を採用したいかを洗い出し、採用のための戦略を立てていく中で、蛭田さんは企業に採用のノウハウが伝わり、いつまでもサポートに頼らなくてもよい形になるよう、リクルートにも企業にも偏らない立場でアドバイスをしていました。

「採用後のミスマッチがおこると関わった全員が不幸になる。」

そんな想いで、時には、同じリクルートの営業が提案した不要なオプションを突き返す事もあれば、企業から学生向けのメール作成を依頼されても、書くべき内容だけを伝えて自分達の言葉で書くように伝えることもあったのだとか。

そんな豊富な経験を持ち、今もキャリアコンサルタントの資格等を取るなどさらに勉強をつづけながらも、蛭田さんは自身を専門家ではなく、専門家以前に相談できる存在であると言います。

蛭田さんがそのように専門家未満の存在になろうと考えたきっかけは、出産と子育てを機にリクルートを退社した後、子育てしながら働くを実現したいと活動する中で、ハンドメイド仲間のお母さんたちをサポートしながら実施した小さなマルシェイベント。

経験がなく、販売するのをためらう仲間達のために、あえてほとんどがハンドメイドの販売初心者という形でイベントを実施し、出店するために必要な値段の付け方、POPの作り方、コミュニケーションの取り方などをアドバイスしました。

イベントの参加者の中から、自信を得て他の場所でも販売をする人も出てきたそうです。

蛭田さんの専門家以前の存在というスタンスは、今後もそのマルシェの時のように、ためらう人達がはじめの小さな一歩を踏み出す勇気を後押ししていくのでしょう。

明るくてカラフルなワーキングスペース(ネット環境完備)は登録者は無料で利用できます。

私は、蛭田さんのお話を聞いて、利益を考えずに仕事をするというのは謙虚なのではなく、利益に見合った仕事をする自信が無いだけなのかもしれないと思いました。

利益が無ければどんなに良いことも続けていくことはできません。そして、関わる誰かが利益を得ることができなくても、それは長い目で見ると良い仕事にはなりえません。

利益には、金銭だけではなく、実績や信頼など目に見えないものも含まれます。

あなたは日常で自分のやっていることに対して利益を得ることができていますか?

そして、相手にも、まわりの人達にも利益を生むことができていますか?

できていないかも、と思ったら、まずは、自分が嬉しいと思うことをしてもらったら「ありがとう」と口に出してお礼を言ってみませんか?

それだけで十分、といえる場面ばかりでは無いけれど、何でもやってもらって当たり前ではなく、まずはきちんと感謝するということが、相手の利益も考えていく第一歩となるのではないでしょうか。私はそう思います。

ささいなことの積み重ねでお互いの利益を意識していくことが、何事もよりよく、長く、続けていくためのコツなのかもしれません。

【編集後記】

蛭田さんはいつも私の活動を応援してくださる心強い味方です。いつも元気で、お母さんとして家族を大事にしながら、パワフルに活動されている姿が憧れです。以前マルシェをお手伝いした際にもお礼!とご馳走してくださり、私を対等の相手として扱ってくれていることが感じられてうれしかったのを覚えています。今回のインタビューでは現在のスタンスにつながった経験を楽しくお話してくださいました。途中笑いすぎて涙が出そうになりました。記事では全部を拾えないのが惜しい…ぜひ機会あったら直接お話を聞いてほしいです。めちゃくちゃお話上手!

Asubiplanning | 明日に備えて、楽しく暮らすアイデアを。 asubiplanning.com

HR Redesign(エイチアールリデザイン)
”働くを豊かに”をテーマに、勤める、起業する、個人で働くなど、あらゆる働き方を多方面でサポートしています。企業の採用のお悩みから個人の再就職、起業、複業、フリーランスetc・・・活き活きと働きたい方と共に歩みます。
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