「ふわふわかき氷 HELLO」店主 影山誠一さん(伊東市)

いくつになっても、好きなこと、新しいことに挑戦し続ける。そんな生き方、恰好いいですよね!

今回インタビューさせていただいた方は、「ふわふわかき氷 HELLO」(伊東市)の店主、影山誠一さんです。

影山さんは63歳までカイロプラクティックの施術者(=カイロプラクター)として働かれていました。カイロプラクティックとは、「筋骨格系の障害とそれが及ぼす健康全般への影響を診断、治療、予防する専門職」※のこと。33歳で独立して自らの治療院を作り、スポーツ界はじめ、多くの分野の方々の健康管理に携わってきたそうです。そしてカイロの国際基準を満たした日本の代表団体であるJAC(ジャック:日本カイロプラクターズ協会)では副会長として団体の法制化に勤め、退任する際には過去8名しか受賞されていない栄誉賞を受賞されています。

その後2016年7月に、「ふわふわかき氷 HELLO」をオープン。

カイロプラクティックを離れてもなお、新しいことにチャレンジし続ける思いをお伺いしました。

JACのホームページより引用


かき氷を始めたきっかけは何ですか?

今から15年程前、目黒区の「ちもと」っていう和菓子屋の社長がカイロプラクティックの患者としてみえていた。それがきっかけでそのお店の「かき氷」を食べたとき、俺の第6感が刺激されたんだな。3時間並ぶ人気店で、「こんなに美味しいかき氷があるのか」って思うほどはまったんだよ。

それ以降、色々な所のかき氷を食べに行くようになったけど、ちもとには勝てなかった。それで、ちもとの社長にかき氷教えてくれないかってお願いしたんだよ。ちょうど、カイロプラクティックは若い世代に引き継ぎ、息子がカイロプラクターとして働いているオーストラリアでかき氷屋を開こうとしていた時期だった。

それでかき氷を学んだんだけど、オーストラリアは諸費用が高くて、2年滞在した後に日本でこの場所を見つけて、かき氷屋を始めた。

師匠であるちもとの社長は、今年はコロナの影響で来れなかったけど、嬉しいことに去年まで毎年来てくれているんだよ。

コロナによってどのような変化がありましたか?

今まで基本的に店内で食べてもらっていたけど、コロナの影響で、今年は外のスペースも利用できるようにして、器も使い捨てのもので提供するようにした。外でも溶けないうちに食べきられるように、全体の量と価格を下げて提供したよ。

そしたら評判もよかったから、来年からも外のスペースを活用しようと思ってる。

お店の外観
サイズを小さくしてもこのボリュームです!

お店のこだわりを教えてください!

『シロップ』

シロップは全て自家製で、開店する日は朝の4時から仕込みをしているよ。みかんのシロップは旬の時期に作っておいて、夏場に備えて冷凍しておく。 

他には、「キャラメルカラメル」というシロップや、「桜」という名前で、松崎から桜の葉っぱの塩漬けをミンチにして、白あんや甘酒と一緒に混ぜたシロップもある。これも人気があるね。

シロップは、ジャムとしても販売されています(こちらからご購入いただけます!)

『値段』

値段は高くてもラーメンと同じくらいの値段に収まるようにしてる。うちのかき氷食べると「東京だと1500円するよ」って言ってくれるお客さんもいるけど、色々な条件がそろっているこの場所だから出せるんだよ。

『氷』

天然氷と普通の氷は、氷になるまでの過程は全く一緒。

でも、汚い沼や湖に張っている氷は、冷凍庫でできる氷よりも透き通っているよね。その理由は、氷になる時に異物が除かれるから。一方で、冷凍庫で普通に作られる氷は不純物の逃げ場がなくて一緒に凍ってしまい、透き通らない氷ができてしまう。

そういう不純物が含まれている氷は溶けやすくなってしまい、より低い温度で凍らせる必要がある。そして、低い温度だと氷が固くなってしまい、ふわふわな食感のかき氷がでいなくなるんだよ。でも、天然氷はできるまでに2週間くらいかかるし、暖かい日にはできない。氷を切り出すのにも人件費がかかる。 

だから、冷凍庫でも天然氷と同じような透き通った氷を作れるように工夫しているよ。

まず、-10度の液体の中に、水道水を入れた大きなアルミ缶を入れる。

それを50時間かけてゆっくり冷やして、真ん中だけ凍らないようにする。2/3以上周りが凍ったら、異物は真ん中の水に集まるから、その水を抜いて、何も入ってない純粋な水をその中に足す。それをさらに凍らせることで、透き通った氷が冷凍庫でもできる。お客さんにはよく「これって天然氷ですか」って聞かれるんだけど、水道水からでも透き通った氷ができるっていうことを説明しているよ。

削る時の氷の温度も大切で、細かく削れるように調整しないといけないから、できるだけ0度に近づける。でも、0度に近づけすぎるとすぐ溶けてしまうから、普通の店よりも少し冷たい状態で、氷の食感を残して削っている。師匠は「ちもと」だから、そういう若干の違いは自分の中で大切にしているな。

かき氷って、実は平安時代からあったんだよ。

枕草子にもかき氷は載っていて、それは日本のスイーツの元祖の一つ。

氷や砂糖は江戸時代末期まではとても希少で、当時は大名や貴族しか食べられなかった。

そういう歴史を考えると、かき氷は上品に作らなきゃいけないって思うね。

氷の作り方についての知識はご自身で勉強されたんですか?

そうだね。最初は息子がいるオーストラリアでやろうと思っていたけど、かき氷を作るブロックアイスはオーストラリアには無い上に、オーストラリアでは天然氷ができないから自分で氷を作る必要があった。だから、大きな冷凍庫を買って、天然氷と同じような氷ができるようにギリギリまで凍らせるトレーニングを積んでたな。

海外への出店は、実はお店を開いた3年目にも話をもらっていて、去年の6月にドバイにオープンする予定だったんだよ。でも、当時イランとアメリカの国際情勢が悪化して、ドバイ出店は止めることにした。もともと自分の中で疑問があったら止めようと決めていたからね。

その後コロナが感染拡大していたから、出店しなくて本当に運がよかった。

そのあと、今度はオーストラリアでやろうと思ってたんだけど、それもコロナで出来なかった。オーストラリアは縁がなかったね。笑

そんなふうにお店を開いてから4年間はいろんなことがあったよ。そしてそれは、この場所でいい形を表現できていたからこそあったことだと思ってる。 

この場所を選んでお店を出したのは何でですか?

もともと海が好きだったし、昔、一碧湖の周辺で別荘を持ってたから、伊豆のことをよく知ってたんだよ。

伊豆の中でどのエリアにするか決めるときは、伊豆半島を2周した。そうすると余計、伊東が一番だと思ったね。

それでこのエリアに絞って物件を探していた時に、偶然、昔お世話になった工務店の名前を見つけて、その社長の紹介で、自分の条件に合うこの物件を見つけることができた。

朝、ここの窓を開けた時の風景を見るとほっとして、ここを選んで本当によかったと思う。

そして、せっかくここに住むなら伊豆高原が発展するひとつの要因にしたくて、そのためにまずは、地元に愛されたいという思いがある。だから地元の人がお店に来てくれると嬉しいね。そういう意味で、ここのかき氷は、ラーメンと同じくらい気軽に行けるような値段じゃなきゃいけないと思ってる。 

「自分の中で疑問が出たらやめておく」とおっしゃっていたように、自分で考えてから行動を起こすことは意識されていたんですか?

何かやる時は前のめりな思いもあるからこそ、一回冷静になって深呼吸して立ち止まって考えるようにしているね。

人間って、結果が出たとしてもただ闇雲にやっているだけだと後で後悔しちゃうんだよ。

自分が今までそういう経験をしいてたからかもしれないな。

かき氷屋を実際に始める前もしっかりと準備をされたんですね

やってみないとわからないこともあるけど、できるところまでは準備しているよ。

この物件を買った後、手作り感は大事だなと思って、このお店のテーブルや椅子、スピーカーなどを全部自分で設置したんだよ。ここの雰囲気のようにレトロなものが好きで、壁もその雰囲気に合うように塗り直したし、女房が水彩画を描くから、それも飾ったりした。ここに座った時に「いいね」て思ってもらうことで、かき氷も一層美味しく感じることができると思ってる。そのように意識してるから、ドアを開けてここに入ってきたお客さんはみんな感動してくれて、「友達の家に来たみたい」って感想もいただくんだよ。

かき氷も、一発目で感動させる努力をしているね。

まず、目で見て感動してもらえるように盛り付けを工夫する。

そして、一口目で喜んでいただくということが大事。

例えば、お店の料理を一口食べただけで「これはおいしいな」とか「 外れたな」て思うことが誰でもあると思う。かき氷だって大切なのは一口目で、そこで感動したら、そこから先はずっとおいしい。その部分については自信があるよ。 

そういうささやかな個性、ささやかなアクが大切で、どんな仕事だろうとそういうことはずっと思ってた。上手いか下手かではなくて、自分らしさを大切にする傾向は強いね。

昔からそのような「自分らしさ」は大切にされていたんですか?

昔からそうだったね。大人になった今でも子供の頃のような気持ちを持ってるよ。

女房には、人の意見を聞かないし好きなことしかやらないって言われる。笑

でも、そうじゃないと常識や人並みという言葉に邪魔されて、こういう雰囲気の場所は作れないよ。

一般的に60歳を超えると定年で仕事をしなくなる人っていうのは多いと思うのですが、影山さんのようにそれでも今なお元気に活動できている理由は何ですか?

それはJ-GARDENの石井さんと同じ、好奇心だよ。好奇心は脳トレにも、ボケ防止にもなるし、人生の中で絶対に必要。

今は逆に好奇心がありすぎて、その手綱を取るのが大変だな。

本当に好きなことしかやらないからね。

好奇心を忘れないために意識していることはありますか?

「そんなこと知ってるよ」って言ってしまうのはだめだね。

カイロをやってきて色んな人と話してきた中で、会社の役員として活躍しているような人たちはみんな、素直に物事を聞く姿勢と、「なんだろう」って気になったことは調べる探究心があったんだよ。例えば、俺が30代の時、当時60代だったある大手会社の役員は、その人が知らないであろうカイロについて俺が説明すると、それを熱心に聞いてくれた。

そういう風に、「なんでこんなにこの料理は美味しいのか?」 というような、些細なこと一つひとつに興味を持つことが大切だね。そうすると、その中に広がりが出てきて、「かき氷やってみたいな」とか思えたりする。

あとは「見栄」もあるね。やるなら、人生に一度でいいから長蛇の列ができる店をやってみたいとか、そういう思いもある。

そして、そのためには最高なものを表現しないといけなくて、ここで満足して終わってはいけないと思っているよ。

最後に、今後やっていきたいと考えていることはありますか?

これからやっていきたいと考えているのは、「昼の立ち飲み屋」。

実はもう動いていて、インバウンド専門の、「伊東市に行ったらあそこだ」というお店を作りたいんだよね。

屋台は安いイメージがあるから入りやすくて、そこで日本食として人気な天ぷらと、ワインなどのお酒を提供する。まずは「一回行ってみようかな」っていう気持ちにさせたい。そうすればそこから人が集まってきて、経済も成長していくと思うからね。


【インタビューを終えて】

ご自身がやりたいことだけではなく、そのやりたいことを実現するまでの道のりを明確に描かれていることが印象的でした。かき氷へのこだわりや、お店の雰囲気づくりなど、話を聞けば聞くほど細部まで行き渡った思考が伝わってきました。

年齢を重ねるほど、一般的には何か新しいことを始めるハードルって高くなるのではないでしょうか。しかし、影山さんの姿を見ると、好奇心を持っていれば、決してそんなことはないのだと思うことができました。

好奇心、探求心をもって、素直な気持ちで少しでも気になったことは調べる。

やりたいことが出てきたらそれを実現するまでの道のりをよく考える。

そうするとやるべきことが見えてきて、だからこそそこに熱中し、挑戦できるのだと思いました。この気持ちは、いつまでも忘れないように持ち続けていきたいです。「昼の立ち飲み屋」の計画まであるということを知って驚きました。

オープンしたら絶対に行きます!

影山さん、ありがとうございました!

Facebook    https://www.facebook.com/fuwafuwa.Kakigori
開店時期  6月     AM11:00〜PM4:00(水曜、木曜定休)
       駐車場 8台 (うち、軽自動車用2台)

7月~9月   AM11:00〜PM5:00(お盆も営業、水曜定休)
       駐車場 16台 (うち、軽自動車用2台)    
ジャム販売サイト(R-ship:2021年3月まで)https://store.shopping.yahoo.co.jp/nukumall/search.html?strcid=0ba62d1c5bc&p=HELLO#CentSrchFilter1
(minne)https://minne.com/@korihello/profile
住所伊東市大室高原3‐509
電話番号0557-35-9767

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